使用者側の立場で写真等素材の著作権を考えます

 個人的には、音楽や絵画の著作権は分かるけれども、そもそもシャッターを切るだけで著作権を主張できる写真とは一体何なのかと疑問に感じてしまうのですが、ここでは、そんな写真も含め WEB制作や広告作成の際に避けて通れない素材の著作権についてまとめたいと思います。

1.はじめに

 著作権とは以下のような権利です。

権利 ロゴ 説明
著作権 「思想又は感情を創作的に表現したもの」に与えられる権利です。無方式主義(特許や商標のように登録を受けなくても権利として保護されること)のため特別な手続なく与えられる権利ですが、創作的でないものには著作権は与えられませんので、著作権を主張しても認められない場合があります。著作権には「著作権」と「著作者人格権」の二種類があります。「著作権」は譲渡できますが「著作者人格権」は譲渡できない権利です。著作権は公表後50年で消滅します。

 著作権放棄または公表後50年で経過したものはパブリックドメインとなります。

権利 ロゴ 説明
パブリック
ドメイン
著作権放棄ないしは原則50年の著作権保護期間が経過したものです。パブリックドメインには著作権が有りません。利用に関しては制約なく自由に利用できますが、販売については原則できません。

 著作権以外には以下のようなマークがあります。

権利 ロゴ 説明
商標 商標は商品名やブランド名など標識として与えられる権利です。名称だけでなく正露丸のラッパ音、インテルのCM音等の音も商標として登録されます。登録されれば、他者が類似した商標を利用することができなくなります。
トレードマーク 商標登録申請中です。商標登録前ですが、類似した商標を利用することはできないように抑制されます。

 これ以外に権利関係には意匠権、特許などがありますがロゴマークはなく、その登録番号を明示するのが一般的です。

2.クリエイティブ・コモンズ ライセンス

 著作権保有者が、自身の保有する著作権を利用したい人にその利用条件を分かりすく伝えるためにロゴ化され共通化されたものがクリエイティブ・コモンズ ライセンスです。
 クリエイティブ・コモンズ ライセンスは非営利組織クリエイティブ・コモンズにより管理され、その普及を促進していますが、今だ素材配布サイトでクリエイティブ・コモンズ ライセンスを明示しているケースは少なく、さらなる普及を願うところです。
 しかし、以下6種類のライセンスを定義していますが、全て著作権表示を求めるライセンスしかなく、例えば企業等のWEBサイトや広告において著作権表示はありえないので、ライセンス体系が企業ユーズにはあっていないと思います。

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン

 ~ クリエイティブ・コモンズ ライセンス ~ 

ロゴ 説明
著作権者の表示、非営利目的での利用、作品の改変禁止を求めます。
著作権者の表示、非営利目的での利用、作品を改変・変形・加工した場合、元になった作品のライセンスの継承を求めます。
著作権者の表示、非営利目的での利用を求めます。
著作権者の表示、作品の改変禁止を求めます。
著作権者の表示、作品を改変・変形・加工した場合、元になった作品のライセンスの継承を求めます。
著作権者の表示を求めます。

 ~ クリエイティブ・コモンズ ライセンスの各条件 ~ 

条件 ロゴ 説明
BY(表示) 著作権(クレジット)表示
NC(非営利) 非営利目的。あくまで販売行為を禁止するもので、商用利用を禁止するものではありません。
ND(改変禁止) 作品の改変を禁止
SA(継承) 作品を改変・変形・加工した場合、元になった作品のライセンス条件を継承する。

 また、これらのクリエイティブ・コモンズ ライセンスを適用しない、著作権放棄のライセンスのことをクリエイティブ・コモンズ ライセンスではCC0といいます。
 これはパブリックドメインと意味合いは同じなのですが、各国ごとパブリックドメインの解釈が微妙に違うため、クリエイティブ・コモンズ ライセンスではCC0と呼んでいます。

3.著作権利用の際、確認する項目一覧

 クリエイティブ・コモンズ ライセンスを利用しても確認するべき項目が網羅できないので、以下のような項目一覧を考えてみました。

項目 説明
著作権 著作権有/パブリックドメイン
有償/無償 有償/有償(ロイヤリティーフリー※)/無償/無償(条件あり)※例えば20点以内使用する場合は無償等
事前承諾 必要/不要/条件あり 利用に際して事前にメール等で承諾を得ないといけないかどうか
著作権表示 必要/不要/条件あり
商用利用 可/不可/条件あり
営利利用・販売 可/不可/条件あり ※例えば改変したものは販売可等
改変 可/可(継承必要)/可(継承不要)/不可 ※継承については著作権が与えられる場合のみ

※ロイヤリティフリーとは:一度購入すれば、利用条件に沿って利用する限り、何度でもその利用が許可されることです。


 WEB制作や広告作成の際、写真等素材を利用する場合、上記確認は必須だと思います。
 不用意にGoogleの画像検索で出てきた画像など利用すると、後で使用料を請求されたり思わぬトラブルに巻き込まれることがありますので十分注意して下さい。特に法人サイトは、どこにでもあるような写真であっても著作権を主張するゴロツキに絡まれ、それも相当の日数が経過した時点で多額の使用料を請求してくることもありえます。

4.自分で写真(素材)を撮影する場合の権利関係

 他人の写真等素材を利用するのは、著作権の確認等わずらわしいので、自身で撮影した写真を利用する場合です。原則、自身に著作権が発生し、自由に利用できますが、以下いくつか留意するべきことがあります。


 ~ 自分で取った写真でも著作権を与えられない場合がある ~ 

 ・創作性のない写真
著作権は「思想又は感情を創作的に表現したもの」に与えられるため、そうではない写真には著作権がありません。例えば、証明写真、防犯カメラの映像などには創作性が認められないので、著作権の対象外とされます。
 ・他者の著作権を侵害する写真
絵画や写真を撮影したとして、それらにはもともとの絵画、写真に著作権がある場合がありますので、著作権の対象外とされます。
 これ以外にも様々なケースがありますが、著作権の判断はケースバイケースで難しく一概に決めることはできません。多くの場合フォトグラファーと称しただ写真を取っただけで著作権を得られるのが現状ですが、係争になってしまった場合はその著作権の有無も必ず争点になります。


 ~ 自然物は自由に撮影し利用できる ~ 

 例えば、富士山の写真を撮影して写真集を販売したとしても何ら問題ありません。富士山のような自然物には著作権がないからです。同様に犬や猫などの動物も自然物として何等問題なく利用できます。撮影した写真には著作権が与えられ自由に利用、販売もできます。


 ~ 人物は許可を取らないとダメ ~ 

 人物を撮影した写真の場合、写真の著作権は撮影者に与えられますが、肖像権(人格権)やパブリシティー権の許諾を得ないと自由に利用することはできません。特に肖像権(人格権)に関して承諾を得たことをモデルリリースと言います。


 ~ 建物は要注意 ~ 

 一般的な家屋やビルには著作権はなく、 芸術作品的な建築物のみが著作物となります。また、著作権は著作者の死後(公表後)50年で消滅するので、多くの寺社仏閣はすでにパブリックドメインとなっています。
 法的にはこのように規定されていますが、これをうのみにするのは非常に危険です。例えば、ビルの写真を撮り自社の広告物に使ったとして、ビルのオーナーから許可なくビルの写真を利用したとクレームを受けるリスクは非常に高いです。意匠権を主張される場合もあるようです。著作権法的には問題ないとしても事前に許諾をとり、無用なトラブルを避けるべきです。
 パブリックドメインとなっている寺社仏閣も多くの場合、写真撮影のために敷地内に入らなければならず、その敷地内での写真撮影禁止となっていれば、管理者に撮影許可を取るところから始めなければなりません。

5.引用について

 よくあるまとめサイトでは他サイトの画像を無断で転載しているようにしか見えませんがこれは許されるのでしょうか?答えは引用としての条件を満たせば可です。引用とは、他人が作った著作物を自分の表現物(コンテンツ)に取り入れることをいいます。この引用には規定があり、
・主従関係が明確であること(コンテンツの内容が引用ばかりになっておらず、メインのコンテンツがあって引用はあくまで従。まとめサイトではコメント部分が主であると弁明されます。)
・引用部分が他とはっきりと区別されていること(“”で囲まれる、quoteタグ利用等)
・引用をする必要性があること(引用を利用しないとコンテンツとして成り立たないということ)
・出典元が明記されていること
・改変しないこと
以上を全て満たす必要があります。転載と引用はどちらも他人が作った著作物を自分の表現物(コンテンツ)に取り入れることを意味し似ていますが、引用は上記の規定を守ることで相手方に承諾を得る必要がないのに対し、転載は相手方の承諾を取るものです。




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