MVNO(仮想移動体通信事業者)とは | IT SKILL MAP

MVNO(仮想移動体通信事業者)とは

 ここではMVNO(仮想移動体通信事業者)の仕組みについて、まとめたいと思います。

1.はじめに

 携帯電話は1998年までは通話のみで、インターネットの利用はできませんでした。
 1999年、iモード、EZweb、J-スカイの登場により携帯電話でもネットが使える時代が到来しました。
 しかし、インターネットが利用できるようになったとはいえ、有線ではブロードバンド化が進む一方、携帯回線のスピードはまだ遅く、機器もフィーチャーフォン(ガラケー)であり、現状のスマホのように鮮やかにWEBページを表現できたり、ピンチが出来たりする能力はありませんでした。
 NTTで言えば、当時一番の問題であったPCと携帯の画面サイズの違い、画像表示するとページ表示が遅くなる問題に対処すべく、iモードサイトを立ち上げ、一旦携帯画面サイズに最適化されたiモードサイトを表示した上で情報が不足する場合はインターネットサイトを検索するというような、携帯独自のISPを自らで行うようになりました。
 その分、プロバイダ料金としてiモード利用料というように携帯電話の請求に上乗せされていました。現在でもWEB使用料という形で残ります。他キャリアも同様の対応を行っていました。
 このような時代的背景があり、有線は回線接続料とプロバイダ使用料がはっきりと分かれているのに対して、携帯電話では全てをキャリアが行うため、ISP業者が携帯市場に入り込む余地がありませんでした。


 そのような中、2001年10月、日本通信(b-mobile)が日本初のMVNO事業者となります。ただし、この時はDDIポケットのPHS網を借りて、データ通信サービスを開始したにすぎません。
 日本通信はさらなるMVNOとしての業務を拡大するため、NTTdocomoに対し事業者間接続※を申し込みました。


※電気通信事業法「事業者間接続」:NTT民営化に伴い、電気通信事業参入会社に対して、公正な競争を目的に事業間接続を義務化するもの。相手からの接続依頼を原則拒否できません。この時100%のシェアであるNTTが接続を拒否すると、実質電気通信事業への新規参入は難しくなるからです。


 しかし、NTT側がこれを拒否したことで、2007年に「電気通信事業者間の紛争処理を担う電気通信事業紛争処理委員会」に持ち込まれ、裁定の結果、日本通信の主張が多く認められました。
 これによりガイドラインの改定が行われ、実質MVNO事業が解禁となりました。
 ガイドラインではMNO(移動体通信事業者:NTTdocomo、KDDI(au)、SoftBank)は相手からの接続依頼を原則拒否できない。適切な価格で提供しなければならない。とされました。これにより、MVNOであってもMNOと公平な状態で競争できる土台が出来ました。


※現状は「事業者間接続」ではなく「卸電気通信役務」に基づいてMVNOのサービスが提供されている場合がほとんどです。事業者間接続は各々が通信機器を持ち、分界点を持って各々の責任範囲として接続するというもの。一方、「卸電気通信役務」は通信事業者の通信サービスをMVNOへ卸売りし、MVNOが再販するというものです。


 この後、2008年6月、日本通信はNTTドコモのFOMA網を使った「bモバイル3G」をスタート。これが実質のMVNO事業のスタートと言えます。


 ただしこの時点では、まだ完全にMVNO事業が自由化された状況ではありませんでした。
 MNP(マイナンバーポータビリティ)については2006年から解禁となっていました。そもそも当初データ通信のみからスタートしており、音声通話を扱っていませんでしたが、音声通話開始後は問題なく各社MNPに応じました。
 一方で、一番の問題となったのはSIMロック。乗り換えようと思っても同一端末が利用できません。
 しかしこれも、2014年12月22日「SIMロック解除に関するガイドライン」が改定され、各キャリアに対し利用者から申し出があれば端末のSIMロックの解除に応じることを義務化しました。これを受け、MNOは、2015年5月1日以降の発売機種より、購入後180日経過した端末のSIMロック解除を無料で行うこととしました。


※2017年12月1日現在、「端末費用を一括で支払った場合即日、分割払いにした場合は分割払い開始後101日目以降、分割払い中に一括弁済した場合は一括弁済した即日」SIMロック解除となりました。


 以来、2017年9月末時点の総務省統計では、MVNO事業者は753社、その契約数は1,687万回線、市場シェアは10.0%に達しています。

 しかし、ここに来て、格安SIM市場の成長率は以前より鈍化しています。


 ~ 主要MVNO事業開始年表 (イメージ) ~ 


2.MVNO(仮想移動体通信事業者)の仕組み

 ~ MNOとMVNOの通信イメージ ~ 



 上図のようにMVNOはMNOのコアネットワークを借りて、仮想移動体通信サービスを提供しています。
音声通信については基本的にMNOの設備だけで提供されているため、MNO、MVNOの通信及びMVNO各社でサービスに差がでません。

 一方、データ通信に関しては、MVNOは独自の設備を持たなければならず、MVNOの設備内にはPGW、PCRF、PCEF、OCSといった機器が必要になります。各MVNOで通信速度は、この設備のPGWとMNOコアネットワークのSGWというゲートウェイ間の通信速度が大きく影響します。MNOはMVNOに対し、この間の通信速度100Gbpsごと約10万で卸売りしています。もちろんMVNOの設備の能力及びその回線を利用する人数も大きく影響しますので、一概にこれだけの問題ではありませんが、ゲートウェイ間の通信速度がMVNOの通信速度に大きく影響することは間違いありません。
 この設備面についてはMVNO各社は公表していません。このため、どのMVNOが速いか正確に比較ができないのが現状です。


※MVNOの中には、WEBアクセラレターによる画像容量の圧縮、動画、音声のプロコトル遮断など通信速度改善のために、根本的な解決となるゲートウェイ間の通信速度をMNOから購入する方法ではなく、個別の通信に対して制御も行うこともあるそうです。このためWEBの使用方法によっても回線速度が変わるので、単純な比較がさらに難しくなっていると言われています。


 このようにMVNOであっても各地に無線基地局を作る必要はないとはいえ、全て借りれる訳ではなく、自社でMVNOの設備を運用する必要があります。ISP関連の企業であれば問題ありませんが、一般企業の参入はこれでは難しくなります。
 このため、MVNE(仮想移動体サービス提供者)があります。NVNEはNMOとMVNOの橋渡しを行い、MVNOの設備運用をサポートします。このMVNEが間に入ることにより様々な異業種企業が参入しやすくなり、多角的なサービスが競争により実施され、市場が活性化されるとされました。
 尚、MVNEがMVNOを行うことがあります。この場合一次MVNOといいます。一方でMVNEのサポートを受けてMVNOを行う場合を二次MVNOといいます。

3.主要MVNO事業者

ブランド名 会社名 一次/二次 MVNE MNO 備考
b-mobile 日本通信 一次 - NTTdocomo
au
Softbank
MVNOのパイオニア
各IT雑誌にて通信速度最低と評価される
IIJ mio
IIJ mobile
インターネットイニシアティブ 一次 - NTTdocomo
au
日本初のISP
IT業界では知らない人はいない技術に優れた企業
BIGLOBE ビッグローブ 一次 - NTTdocomo
au
元NECグループ
2016年KDDIの子会社となり、KDDIグループでNTTdocomoのMVNOを行う会社となる
OCN モバイル ONE NTTコミュニケーションズ 一次 - NTTdocomo ISPでOCNブランドを展開する。NTTグループ内MVNO
mineo ケイオプティコム 一次 - NTTdocomo
au
関西電力系列
R mobile 楽天 一次 - NTTdocomo 2017年12月MNO事業への参入表明
UQ mobile UQコミュニケーションズ 一次 - au WiMAXのMNO。グループ内MVNO
各IT雑誌にて通信速度最速と評価される
イオン mobile イオン 二次 インターネットイニシアティブ
NTTコミュニケーションズ
NTTdocomo 過去、主に日本通信のMVNOを販売していたが自らがMVNOに
Y mobile ソフトバンク - - SoftBank MNOがMVNOを行う特殊形態。前身はイーモバイルとウイルコム。Wireless City Planningと関連有
LINE mobile LINE 二次 NTTコミュニケーションズ NTTdocomo 後発のSNS大手 ※2018/1/31 SoftBankが買収。今後MVNEは変更になると思われます。

4.日本通信の現状から見るMVNOの現状

 キャリア系MVNOが大きく成長する一方、独立系のMVNOの苦戦が続きます。初のMVNO事業者となった日本通信も、現状の経営状況、株価を見てもその苦しさが分かります。



 日本通信はNTTdocomoのSIMから始め、auのSIM、そして唯一卸売を行っていなかったSoftBankのSIM販売を開始し、ここでもパイオニアとなりました。
 この間、ソニーから分離したVAIOと共同でVAIOフォンを設計販売。イオンでの販売により大きく成長すると思われました。
 ところが、このVAIOは販売不振。そして負の連鎖か「b-mobileはまったくスピードが出ない、特に通信の集中する日中と夕方から夜にかけて通信制限レベルの速度」と多くの声が上るようになりました。
 「SoftBankのSIM販売を軸に、今後はFinTechの分野に注力する。」とのことですが、とにかくまずは回線速度の改善が必要なのかも知れません。
 MVNOのパイオニアであった日本通信がこのような状況というのは、悲しい話です。
 2017年12月FREETELが破たんしました。結局最後はキャリア系だけになるのかも知れません。



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