請負・SES・派遣 IT業界の受注形態について | IT SKILL MAP

請負・SES・派遣 IT業界の受注形態について

 IT業界で仕事を受注する形態である、請負、SES、派遣についてまとめます。
 スキル磨きに精を出す真面目な技術者の方の中には(悪くいっているのではありません。)、このことをあまり意識しない方もいるのですが、最低限、この違いを知って、自分の投入される現場はどの受注形態なのか確認していただきたいです。

目次

1.請負、SES、派遣

請負

 正に、仕事を請け負う契約で、受注者側は成果物を求められます。この契約を行うと発注側は納期と品質についての安心を得られる一方で、受注側には大きなリスクを求められることになります。
 もし納期に遅れた場合は、損害賠償。納品後でも不具合が生じた場合、契約書に定める瑕疵担保責任期間内であれば無償改修です。
 受注者側のメリットは、リスクを負う分、高い金額設定できることと、いちいち進捗報告をしなくて良いことです。
 受注者側に相当の自信がある場合、例えば同業他社のシステム開発実績があり、そのソースコードを保有している場合や、類似のパッケージを保有している場合で、大きな要件変更がない場合は、カスタマイズのみなので、この受注形態にする場合があります。
 一方で、働く側からすると、請負で現場に投入される場合は、余程の覚悟が必要です。要件定義が万全でも、システムでは思わぬエラーが発生することが多く、それを全て被らなくてはならなくなります。


SES(システムエンジニアリングサービス)

 客先に常駐する場合、ほとんどがこの契約です。
 発注者側の要望を受け、要件定義し、システム開発を行い、リリースする。要請を受ければ進捗報告をする。というように、発注者側に常に寄り添い指示に従います。
 一から開発するスクラッチ開発の場合も、開発後の保守契約もこの契約です。
 この契約は準委任契約という法的な分類に属します。医者の診療も同じ準委任契約で、患者の診療に最善を尽くせば、仮に死亡となっても責任を問われない。これと同じで成果物を求められることはなく、納期遅れによる損害賠償もありません。
 あくまで技術を提供することで対価を受け取っている、ということになります。
 この場合、発注者側が大きなリスクを負うことになります。納期に遅れても損害賠償請求できませんし、契約期間後のエラー改修も、基本有償です。
 この為、発注者は常に進捗報告を求め、多い現場だと1日3回報告という場合もありました。


派遣

 客先に技術者を派遣する契約です。請負、SESとは下図の通り、指揮系統が違います。

 派遣の場合は、発注者側に技術的な指示が可能な人材がいるかどうかが重要になります。
 SIerに派遣される場合、ほとんど問題はありませんが、一般企業に技術者として派遣される場合は、技術的な指導が受けられない可能性があるため、注意が必要です。


 働く側からすると、以下のことにも注意が必要です。

二重派遣の禁止

 派遣先からさらに別の現場で従事し、その現場での指示に従うよう求められた場合は、二重派遣であり、労働基準法などで禁止されている違法行為です。
 ただし、派遣先がSIerで、そのSIerの指揮の元、客先の現場に常駐する場合、SIerのリーダーが現場に一緒に居て、指示もSIerが直接出すのであれば二重派遣にはなりません。これはよくあるケースです。
 確かに、このパターンで偽装請負という場合も存在しますが、要はどの場所であれ、指示が一次派遣先から直接出ている限りは、二重派遣ではありません。


3年の期間制限
 2015年(平成27年)の労働者派遣法改正法の成立により、同一の現場で働ける期間は3年となりました。3年を超えて同じ現場で働きたい場合は、その現場の正規社員になるか、課、またはグループを変えるとさらに3年の期限で働けると規定されています。
 以前は、「ソフトウェア開発者」は専門26業務という、この制限を受けない職種に該当していたのですが、2015年の改正で、この専門26業務は撤廃され、3年の期間制限に該当することになりました。
 この法律は、長く派遣で働いた方へ正規雇用の機会を設けるという意図なのですが、課、またはグループを変えるとさらに3年働ける、派遣元の契約が無期雇用派遣の場合該当しない等、いわゆる抜け道が存在するため、どこまで有効かは、改定後3年が経過する2018年の9月にならないと分かりません。
 派遣元の契約が無期雇用派遣になっていくというのであれば良いのですが、予想ですが、「課、またはグループを変えるとさらに3年働ける」を利用して、システム1課とかシステム2課とかができるのではないでしょうか。または根本ですが、「3年で入れ替えていこう。」となるのではないでしょうか。


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