2つに分かれたLinux認定試験、LinuCとLPICの比較

 長年に渡り特定非営利活動法人LPI-JAPANはLPI試験の日本窓口として試験を実施してきました。
 そして、試験の実施だけでなく、幅広い広報活動、高品質なLinuxテキストの無料配布を通じて日本でのLinux普及に大きく貢献してきたと思います。

 ところが、このLPI-JAPANは2018年3月1日、新しいLinux試験「LinuC」を開始すると発表しました。LPICと同じ3レベルの試験で、同じLinuxの技術を問う試験ですが、「日本市場に対応したLinuxの認定試験にする。」そして「LPICも世界標準の試験として試験を継続しつつ、並行してLinuCを実施する」とのことでした。
 この発表で受験者の多くは驚き、そして疑問を感じたと思います。Linuxという世界的に共通した技術に対して、何故、日本独自資格と世界標準資格を分ける必要があるのでしょう。この時点で不自然な動きであり、何等かの原因でテスト配信側のLPIと日本窓口のエルピーアイジャパンの関係が悪化し、団体が分裂するのではないかと懸念していました。

 2018年8月17日。案の定、分裂してしまいました。
 試験配信元のLPI本部(カナダ)はLPI-JAPANとの試験配信における日本での独占ライセンス契約を破棄し、新たにLPI日本支部を設立し、今後はLPI日本支部においてLPICを実施すると発表しました。
 LPI-JAPAN側の分裂についての公式発表はこちら(https://lpicj.org/201808.html)
 この公式発表で取り扱い停止の理由として挙げている「 LPICの試験問題は、インターネットで検索し第三者のサイトから購入ができてしまう状況になってしまいました。」とはクラムメディアの問題集のことを言っていると思いますが、何を今さらという話です。シスコ始めほとんどのベンダー資格の問題が漏れてしまっていることはIT業界の人間であれば長い間、周知の事実です。最近に始まった話ではありません。
 そもそもCBT試験において問題を流出しないようにするのは、ほとんど不可能と言える話です。これを理由にLinuCを実施して本当に試験問題が漏らさない自信があるのでしょうか?
 本気で試験問題の流出を防ぐとつもりなら、IPAのように試験会場での一斉卓上テストしか難しいと思いますがそこまでやる気なのでしょうか?CBTで試験をするのであればTOEICのように試験日を年10回というように回数を減らすことで流失機会を減らすのでしょうか?さらにピアソン、プロメトリックなど他社テストセンターにテスト実施を依頼することなく自社でテストを実施するのでしょうか?
 結局はテスト流出を建前にしてLPI-JAPANが自身で試験を実施したかっただけなのではないのでしょうか。試験の配信社が一番儲かりますので。ただLPI本部がここまでの強行策に出るとは思っておらず、今は後悔しているのではないでしょうか。

 真実は分かりませんが、どのような理由があるにしても、受験者にとっては迷惑この上ない話です。
 受験もしたくなくなりますが、どうしてもLinuxの技術を証明する資格が必要な場合、どちらを受験するべきなのでしょう。
 以下にまとめました。

LinuCLPI-JAPAN(http://www.lpi.or.jp/)
LPICLinux Professional Institute:LPI日本支部(http://www.lpi.org/ja/)


1.資格体系と受験費用

認定資格 LinuC(LPI-JAPAN) LPIC(LPI日本支部)
試験名 費用(税込) 試験名 費用(税込)
レベル1(初級) 101試験 \16,200- 101試験 \16,200-
102試験 \16,200- 102試験 \16,200-
レベル2(中級) 201試験 \16,200- 201試験 \16,200-
202試験 \16,200- 202試験 \16,200-
レベル3(上級) 300試験
(Mixed Environment)
\32,400- 300試験
(Mixed Environment)
\32,400-
レベル3(上級) 303試験
(Security)
\32,400- 303試験
(Security)
\32,400-
レベル3(上級) 304試験
(Virtualization & High Availability)
\32,400- 304試験
(Virtualization & High Availability)
\32,400-

※レベル1、レベル2は2試験合格でレベル1、レベル2認定。レベル3は各々専門分野に分かれており、1試験でも合格するとレベル3認定されます。


 試験体系、受験費用については一切違いがありません。テストセンターは両方ともピアソンVUEです。

 尚、LPI-JAPANでは2018年8月31日までのLPIC認定についてはLinuC認定を無料で行うとしています。


2.LinuC、LPICのメリット・デメリット

 現状で各試験のメリット・デメリットを整理したいと思います。

試験 メリット デメリット
LinuC
(LPI-JAPAN)
・日本語対応が充分
・日本語マニュアル、技術書充実
・日本独自資格
LPIC
(LPI日本支部)
・世界標準資格 ・日本語対応に懸念
・英語のマニュアル、技術書しかない

 LPICは、今後十分な日本語対応を行えるかが焦点だと思われます。現状、LPI日本支部のホームページすらトップページ以外英語のサイトになるまるで「かきわり」のような状況です。今後LPI-JAPANの協力が得られない中、日本語化を十分に行えるのかが重要です。シスコのように試験問題によく分からない日本語が出てくる状況になると終わりです。
 一方、LinuCは世界標準資格になるということは絶対に無理ですので、LPIの日本語対応のまずさから受験者がLinuCに流れるのを待つといったところでしょうか。LPI日本支部が充分な日本語対応を行った場合は厳しくなります。
 本当にお互いにメリット・デメリットを補完しあえていたのに何を分裂しているのでしょうか。



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