CCNAやCCNPの試験では、IOSのシミュレーション問題が含まれるため、実機での操作をしたいところですが、会社のシスコの機器、特に、本番で稼働している機器は、不必要にログインするだけでも注意を受けると思いますし、開発機器であっても試験対策目的で利用することは、なかなか許されることではないと思います。
そういった中で、どのようにシスコ機器を操作する機会を作るかですが、結論、自宅でその環境を構築するしかないと思います。
尚、CCNAレベルであれば、少しでも会社で、シスコ機器を操作したことがあるのであれば、頭の中でイメージすることで、シミュレーション問題に十分対応できると思います。一方、全く会社でシスコ機器に触れたことがない方、及び、CCNPの受験を目指す方はIOSのシミュレーション環境を構築しないと、試験対策が厳しいと思います。
ここでは、このIOSのシミュレーション環境の構築方法について考えたいと思います。
1.必要なもの
自宅でIOSのシュミレーション環境を作る場合に必要となるのが、
・パソコン
・GNS3
・IOSイメージ
以上です。
1-1.GNS3
GNS3はシスコ機器のシミュレーション環境を、PC上でバーチャルに作成できるフリーソフトです。ネットワークエンジニアには知られたソフトです。OSSのGPLライセンスで運用されています。
Windowsでは7以降、macOSはOS X 10.9以降、Linuxではディストリビューションを問わず利用可能です。
このソフトは単独では使用できません。シスコのIOSイメージがあってはじめて利用できます。ただし、もし例えばスイッチのIOSイメージが1つあれば、GNS3内でいくつでも仮想スイッチを作成できるため、STPなどスイッチを複数台必要とするシミュレーションも簡単に実行できるようになります。
~ GNS3 ~

GNS3(https://www.gns3.com/)
1-2.IOSイメージ
ある意味、IOSイメージの入手が一番の難関かもしれません。会社で「カスタマー」もしくは「パートナー」レベルのシスコ会員であれば、シスコのHPよりどの機器のシスコIOSイメージでもダウンロードできます。シスコ IOS ソフトウェアイメージのダウンロード手順
会員でない場合、この方法は使えません。その場合は、シスコ実機から、シスコIOSイメージをTFTPコマンドを利用して取り出す方法があります。
もし、会社からの一切のファイル持ち出しを禁じられている場合、上記方法も使えません。こうなると以下で説明する中古のシスコ機器を購入・レンタルして、シスコIOSイメージを取り出すしか方法がなくなります。GNS3を利用する前提であれば、スイッチ1台、ルーター1台で十分です。GNS3内でいくつでも仮想スイッチ、仮想ルーターを作成できるからです。
2.IOSのシミュレーションを行うその他方法
ここまで来ると、そもそもIOSイメージすら会員にしか提供しない、一企業であるシスコの資格を取る必要性があるのかすら考えてしまいますが、CCNA、CCNPがネットワークのデファクトスタンダード資格となってしまっているため、どうしても資格取得が必要な方は以下の方法をお考え下さい。
2-1.中古のシスコ機器を購入・レンタル
中古でシスコ機器を販売、レンタルしているメーカーがいくつかあります。機器は試験目的であれば100BASE-Tレベルで十分です。このレベルであれば、1台1万円以内で購入できると思います。
2-2.自習室、スクーリング
東京にはCCNAの自習室という形で、スイッチやルーターを利用できるレンタルスペースがあります。参考書や問題集で十分学習した上で最後の仕上げとして短時間利用するという方法であれば、利用価値はあるかもしれません。
これ以外の方法となると、費用はどうしても高額になりますが、各ITスクールのCCNA、CCNP対策講座に参加してシスコ実機を操作する機会を作るしかないかと思います。