4G、LTE、5Gは移動通信の規格つまりスマホ、モバイルルーターの通信規格です。一方Wi-Fiは無線LANの規格です。これらは全て無線通信の規格ですが、混乱しやすいと思いますので、分かりやすくまとめます。
1.4G、LTE、5GとWi-Fiはまったく違います。
4G、LTE、5Gは移動通信システムと呼ばれ、スマホ、モバイルルーターに利用される電波通信の規格です。
この通信規格は、キャリア(NTTdocomo、au、SoftBank、Rakuten)との通信に利用する規格であり、言い換えるとキャリアと契約しないと、この通信を利用できません。
この通信規格は移動しながら通信することが前提の規格なので、通信を行っていた基地局から遠くなり電波が弱まると、一番近く電波の強い別の基地局を、端末が自動で探索し、つなぎ替えます。(ハンドオーバー)
これにより移動しながらでも連続利用することが可能になります。
~ 移動通信システムを利用した通信のイメージ ~
一方、Wi-Fiは各個人及び企業が自身のネットワークを無線化するための通信規格です。自身で電波を発信し、自身でその電波をキャッチします。
この規格は電波の到達範囲が非常に狭く、約10m圏内での利用に限定されます。このため無免許で自由に使用することが許されています。移動しながらの通信は、この電波が届く約10m圏内でのみ可能です。従って、局所的な利用しかできないということです。
~ Wi-Fi通信のイメージ ~
2.移動通信システム
4G、LTE、5G
4G、5Gの「G」は「Generation」、世代という意味です。つまり、移動通信システムの第4世代規格、第5世代規格を表します。
現在、高速通信は5Gを中心に、5Gエリア外は、4Gが利用されています。5Gのカバー率はキャリアにより異なりますが、2021年10月時点でおよそ80%と云われています。
1G、2Gは、既にサービス終了しています。3Gも2022年3月31日をもってサービス終了します。
※ただし、海外では、2Gの一種であるGSM規格および3Gが、現在も主流です。国際ローミング通信の際は、これらの規格にスマホが自動で切り替わります。
LTE(Long Term Evolution)は実際は3.9Gと呼ばれる第3世代と第4世代の橋渡し的な規格でしたが、ITU(国際電気通信連合)がLTE(3.9G)=4Gとしました。この影響で、実際の4Gになるはずの規格は、LTE advancedと呼ばれます。
~ 4G、LTE、5Gの通信速度、キャリアサービス名称 ~
移動通信システム規格 |
4G(LTE) |
4G(LTE advanced) |
5G |
理論上最大速度※1 |
326Mbps |
3Gbps |
20Gbps |
NTTdocomo |
サービス名 |
Xi 最大150Mbps |
PREMIUM 4G 最大1.7Gbps |
5G 最大4.2Gbps |
実効速度※2 |
Android:(下り)168Mbps~299Mbps iOS:(下り)154Mbps~298Mbps NTTdocomo 実効速度計測結果(調査期間2019/10~2019/12) |
au |
サービス名 |
4G(LTE) 最大150Mbps |
4G(LTE) 最大1.2Gbps |
5G 最大4.2Gbps |
実効速度※2 |
Android:(下り)93Mbps~161Mbps iOS:(下り)88Mbps~170Mbps au 実効速度計測結果(調査期間2020/01~2020/03) |
SoftBank |
サービス名 |
SoftBank 4G LTE 最大350Mbps※3 |
SoftBank 4G 最大612Mbps※3 |
SoftBank 5G 最大2.7Gbps※3 |
実効速度※2 |
Android:(下り)97Mbps~172Mbps iOS:(下り)90Mbps~163Mbps SoftBank 実効速度計測結果(調査期間2020/02~2020/03) |
Rakuten |
サービス名 |
- |
4G LTE 最大400Mbps |
5G 最大2.8Gbps |
実効速度※2 |
未発表 |
※1:理論上最大速度:MIMOにおいて4アンテナ(4ストリーム)利用、変調256QAM、キャリアアグリゲーション、ファントムセル、Massive MIMO等を利用した最良条件での最大速度です。実際ここまでの速度は出せません。
※2:実効速度:あまりに公称速度に対しばらつきが出るため、総務省が、各キャリアに依頼し、総務省の制定したガイドラインに基づき、各キャリアが、各地で通信が混雑する時間帯にOSごと実測定した中央値に近い半数値(25%値~75%値の範囲)です。
※3:SoftBankはMIMOにおいて4アンテナ(4ストリーム)利用、変調256QAM、プラチナバンドのキャリアアグリゲーションと、他社記載に対して基準が違いますので、一概に比較できません。
総務省の実効速度調査では、NTTdocomoが最速ということになります。
WiMAXも移動通信システムです。
KDDI(au)のグループ会社、UQコミュニケーションズが展開するUQ WiMAXも、データ通信のみですが、WiMAX規格※に準拠した移動通信システムです。
4G(LTE advanced)相当のUQ WiMAX2+サービスを提供しています。これは5Gより速度的に劣るので、現在ではAU 5G、AU 4G LTE、UQ WiMAX2+を組み合わせた(どれでも使える)ルータープランが提供されています。
※正確にはWiMAX規格(IEEE802.16e-2005)に基地局切り替え(ハンドオーバー)の仕様を追加したモバイルWiMAX規格(IEEE802.16e-2005)が正式名称です。
BWA(Broadband Wireless Access:広帯域移動無線アクセスシステム)とも呼ばれる、無線を用いた移動高速データ通信の標準規格です。室内で利用する無線LAN(IEEE802.11シリーズ)とは異なり、無線基地局から出力される電波によりデータ通信を行います。
UQコミュニケーションズ |
サービス名 |
WiMAX2+ |
最大440Mbps |
ちなみに「UQ mobile」はWiMAX通信サービスを提供するUQコミュニケーションズがauのMVNO(仮想移動体通信事業者)としてauの4G、LTE、5Gを提供するものです。
3.Wi-Fi
Wi-Fiについては別ページ(無線LANの規格と機器の選び方)でまとめていますので、ご参照下さい。
Wi-Fiと無線LAN
Wi-Fiと無線LANは、ほぼ同義語として利用されます。
もともと無線LANは、IEEE802.11規格による機器間の通信を示す言葉でしたが、昔、同じIEEE802.11規格を採用しているのにもかかわらず、別メーカーの機器とは通信できないという問題が起こり、Wi-Fi Allianceという業界団体が、問題なく通信できる機器について、認証マークとして「Wi-Fi CERTIFIED」というロゴを機器に付けることにしました。この後、いつからか、無線LANをWi-Fiと呼ばれるようになりました。