CPUの性能を比較する指標とCPU製造メーカー

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 CPUは、パソコンやサーバーにおいて数値演算を行う最重要パーツです。
 CPUの演算速度が実質パソコンの速さであり、マザーボートと強い依存関係があるため、メモリやハードディスクのように購入後、容易に増設や入れ替えが出来ないパーツです。
 このため、パソコン、サーバーを購入する際は、特にCPUの性能に気をつける必要があると言えます。


1.CPUの性能を比較する指標


 CPUの性能は昔はクロック周波数だけで判断できましたが、現在では、主にクロック周波数コア数スレッド数、の3つでCPUの本体性能を判断します。

 加えて、L3キャッシュ容量、製造プロセス(リソグラフィー)、TDPも判断材料として参考程度にご確認。


クロック周波数

 CPUの性能を表す1つの指標です。コンピュータの内部は全て「0」か「1」の2進数で処理されていて、CPUは振り子のように「0」「1」を切替えて演算を行います。 この「0」「1」の切替え速度を表す単位がクロック周波数で、単位はGHz(ギガヘルツ)です。
 1GHzの場合、1秒間で1,000,000,000回(10億回)「0」「1」の切替えが行われます。
 このHzが大きければ大きいほど、CPUの処理速度は速いと言えます。
 一昔前はクロック周波数が唯一のCPUの速度を表す指標だったのですが、半導体製のCPUはクロック周波数を上げれば上げるだけCPUの発熱量が上がってしまうため、2005年頃、クロック周波数を上げることによるCPUの速度アップは一旦限界を迎えることになりました。

 また、クロック周波数には定格クロック周波数と最大クロック周波数の2つの指標があります。通常は定格クロック周波数で動作しますが、処理量が多くなると最大クロック周波数を上限として自動的にクロックアップされます。ただしどれだけ処理量が増加しても最大クロック周波数までクロックアップすることはほぼありません。これはクロックアップすることでCPUの発熱量が急激に増加しCPUの物理的な寿命を縮める可能性があるからです。しかしゲーミングPCやデイトレードなど1分1秒を争うような場面では最大クロック周波数固定で利用したい場面もあります。この場合、最上位モデルに限定されますが自己責任ですが最大クロック周波数固定で利用する設定ができます。

コア数

 複数のCPU機能を1つのCPUの中に内包し、並列処理を行うことでCPUの処理速度をアップします。 このCPUに内包したCPU機能のことをコアと呼び、そのコアの数をコア数と呼びます。コア数が多ければ多いほどCPUの処理速度は速いと言えます。

スレッド数

 ハイパースレッディング(HT)というインテル独自の技術※により、同一CPU上で複数の命令を実行できます。これにより、1つのCPUであっても2CPU同時に使用しているような実行速度になります。
 この同一CPU上で実行される命令のことをスレッドと呼び、同時に実行できるスレッドの数をスレッド数と呼びます。スレッド数が多ければ多いほどCPUの処理速度は速いと言えます。
 上記コアと比較して仮想コアとも呼ばれます。コアのように物理的にCPU機能が分離しているのではなく、あくまでHTプログラムによってマルチコアになっています。
 上記コア数とスレッド数の比較ですが、例えば2コアでHT機能付きであれば、4スレッド同時に命令を実行できます。対して4コアHT無しの場合、同じく4スレッド同時に命令を実行できますが、HTプログラムを経由しない分4コア、HT無しの方が高速です。

 ※2018年4月:インテルと対抗するCPUメーカーAMDも「Simultaneous Multi Threading」(SMT)を開発しHT同様のスレッド処理が可能となりました。Ryzenシリーズより製品導入されています。



L3キャッシュ容量

 CPUに内包される記憶装置のことです。メモリより処理速度がはるかに高速でL3キャッシュ容量が多ければ多いほど処理速度が速くなります。処理速度の遅いメモリを利用する頻度が減るからです。CPUの記憶装置は他にL1キャッシュ、L2キャッシュがあります。CPUが記憶装置を利用する際はL1、L2、L3の順に利用するように設計されています。L1とL2の容量はCPUごと大きく変わりません。このためCPUの性能を比較する際はL3キャッシュ容量を指標として利用します。



製造プロセス:(リソグラフィー)

 CPUの半導体の回路線幅。単位はnm。小さければ小さいほど性能が高くなります。これは小さければ小さいほど半導体の密度が上がり、結果同一面積により多くの半導体を配置することができ、CPUの速度向上につながるからです。



TDP:(Thermal Design Power / 熱設計電力)

 発熱量の目安で、消費電力とも関係します。小さければ小さいほど発熱量、消費電力が下がります。モバイルPCの場合は、バッテリーの持続時間にダイレクトに影響する非常に重要な指標となります。



CPU速度進化の頭打ち

 当初クロック周波数を上げることで、速度向上を目指していましたが頭打ち。マルチコアも頭打ちとなってきています。製造プロセスについては10nmに向けて開発が続けられていますが、今後、毎年大幅な速度向上という状況にはならないと言われています。


CPUで相次いで発覚する脆弱性について

 インテルのCPUでは2018年1月に発覚した「Meltdown」と呼ばれる脆弱性以降、同2018年1月「Spectre」、2018年8月「Foreshadow」、2019年5月「ZombieLoadと呼ばれれる脆弱性を指摘する論文に基づくマイクロアーキテクチャ・データ・サンプリング(MDS)」と相次いで脆弱性が発覚しています。
 これらは、いずれもCPUの投機的実行と呼ばれる処理速度の向上を目的に先読みして処理する仕組みを悪用し、バックドアを設けることで結果情報を盗むことができるというものです。
 対策として、例えばWindowユーザーの場合、Windowsアップデートにより随時更新プログラムが提供されています。
 しかし、これらCPUの脆弱性は理論的に発覚したとはいうものの、実際に悪用されたというなく、そこまで神経質になる必要はないと思います。


2.CPUの製造メーカー

 2020年10月現在、インテルがシェア約60%、AMDがシェア約40%と云われています。

 インテルのCPUについてはインテルCPUラインナップで詳しくまとめています。
 AMDのCPU「Ryzen」シリーズについてはこちらで詳しくまとめています。


3.SoC

 iPhoneやAndroid等のスマートフォンと、iPadやMediaPadなどの小型タブレットはCPUではなく、
SoC(System on Chip:システム オン チップ)と呼ばれる、CPUとメモリ、マザーボードなどが高度に集積されたパーツを搭載しています。よりシビアな容量の中に、各種パーツを詰め込むため、様々な技術が利用されています。


 iPhone、iPadにはアップルが自社設計するAシリーズと呼ばれるSoC。
 Andorid系にはクアルコム(Qualcomm)のSnapdragonと呼ばれるSoCが多く利用されています。
 CPU市場の王者であるインテルですが、ことSoCについては非常に苦戦しており、IntelのSoCブランド、Intel Atomシリーズについては一時、撤退するとの報道が流れたほどです。



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