Webサーバとは、一言でいうと「Webの提供」。つまり、WEBサービスを提供するためのアプリケーションのことで、具体的にはHTTP、HTTPS等の通信プロコトルによる通信を、アプリケーション層(L7)、プレゼンテーション層(L6)、セッション層(L5)レベルで、制御するためのアプリケーションです。
ここでは、このWebサーバアプリケーションをまとめます。
1.Apache HTTP Server
個人、企業問わず幅広く利用されているWebサーバです。無償、商用可、OSSのApache Licenseで運用されています。現在バージョン2.4系が最新です。これ以前のバージョンはサポート終了となっています。
1995年に誕生した歴史の長いWebサーバです。当初、Linux上で利用するWebサーバでしたが、現在ではマルチプラットフォーム化してWindows、macOS上でも利用できます。
Apache HTTP Server(https://httpd.apache.org/)
2.IIS(Internet Information Services)
Windowsの標準Webサーバです。簡単なページの表示などはすぐにできる反面、パーミッション設定など複雑で、他のWebサーバよりも導入の難易度が高いです。ASP.net等、Visual StudioでのWebアプリ開発の場合に、IISが利用されます。
IISは単体で販売はされておらず、Windowsに同梱されています。各WindowsとIISのバージョン関係は下図の通りで、IISのサポート期限は各Windowsのサポート期限と同じになります。
IIS 10.0以降メジャーアップデートがありません。今までは新しいWindows Serverのリリースと併せてIISの新バージョンがリリースされていましたが、Windows Server 2016以降リリースされていません。
推測ですが、.NET Frameworkの開発終了の理由は、マルチプラットフォーム(Windows、macOS、Linux)への対応のためでした。同じように考えるとWindows上でしか動作しないIISを全く別のマルチプラットフォーム対応の新Webサーバーを開発している可能性があると考えます。
IISバージョン |
標準搭載されるWindowsのバージョン |
IIS 7.0 |
Windows Server 2008 |
IIS 7.5 |
Windows 7、Windows Server 2008 R2 |
IIS 8.0 |
Windows Server 2012 |
IIS 8.5 |
Windows 8.1、Windows Server 2012 R2 |
IIS 10.0 |
Windows 10 / 11、Windows Server 2016 / 2019 / 2022 |
ライセンスの問題として、IISを利用して不特定多数を対象としたにWebサービスを提供する場合、CALが必要なのかどうか確認が必要です。
・主に静的コンテンツなど、会員サービスを実施せず、ユーザ認証を行わないサイトの場合はCAL不要
・会員サービスを実施し、何らかのユーザ認証※を行う場合はCAL必要
※Windows認証に限らずBasic認証やその他アプリケーション独自の認証を含みます
と言われていますが、仮に会員が1万人のWebサービスを運営する場合に1万CAL必要という話であれば、IISを利用する企業はなくなると思われます。Microsoftから、この件関して公式なドキュメントを出していません。ケースバイケースにしたいためだと思われます。IISを利用してWebサービスを実施する際は、Microsoftに対して返事がくるかどうかは別に、問い合わせのメールを送った証跡を残しておく方が良いかもしれません。
3.NginX(エンジンエックス)
2002年にロシアで開発されたWebサーバです。大規模Webサイトでのシビアな運用を前提に開発されており、高速処理、省メモリを実現するため、メインモジュールを必要最小限に絞り軽量化していますが、必要であればモジュール追加によりソフトウェアロードバランサ、リバースプロキシなど高度な機能をオプションとして追加できるようにしています。
現在トップシェアのApache HTTP Serverとの大きな違いはそのセッションの扱い方で、Apache HTTP Serverは各セッションをスレッドとして番号付けして管理するのに対し、NginXでは番号付けせず、非同期的な一固まりのものとした上でオンデマンドに並行処理をしていきます。この仕組みにより、大量の同時セッションが発生する大規模Webサーバでは、NginXの方が、より高速に処理できます。
一時、Apache HTTP Serverに代わると云われたこともありますが、ロシア製であることや、LiteSpeedの登場により、それ程シェアが伸びるということはありませんでした。
マルチプラットフォームで、Windows、Linux、macOS上で利用できます。無償、商用可、OSSのBSD like Lisenceで運用されています。
NginX(http://nginx.org/)
4.LiteSpeed Web Server
LiteSpeed Web Serverは米ベンチャーのLiteSpeedテクノロジー社が販売するWebサーバーです。
速度や処理能力でNginXを凌ぎ、現状、最も性能に優れたWebサーバーです。
設定はApacheに似せて作られており、Apacheを利用していた人は設定に手間取ることはありません。
1ドメイン、搭載メモリ2GBまでは無料で使用できますが、それ以上の場合、月10ドルから費用がかかります。
商用のLiteSpeed Web Serverとは別にOSSのOpenLiteSpeedがあり、GPL Lisenceで運用されています。しかし、速度、機能面で制限がかかっており、LiteSpeed Web Serverに劣ります。
LiteSpeed Web Server(https://www.litespeedtech.com/products/litespeed-web-server)