バックアップ製品まとめ

 バックアップは、個人の場合、重要なファイルを手動で外付けのHDDに保存したり、Windowsなら、「バックアップと復元」からシステムイメージを作成したりして、パソコンの故障に備えることが一般的です。

 一方、企業でバックアップする場合には、サードパーティ製のバックアップ製品を購入してバックアップを行うことが多いです。ここでは、何故、Windows等OSに標準バックアップ機能が存在するにも関わらず、サードパーティのバックアップ製品が必要なのか、そして、そのバックアップ製品についてまとめたいと思います。

1.OSで標準搭載されるバックアップ機能

 手動でコピーしてバックアップする以外の方法。機能としてOSから提供されているバックアップサービスについてまとめます。


 ~ Windows10 ~ 

 ・復元ポイント

 ドライブ又はフォルダ単位で作成される復元ポイントです。スタートボタン右クリック→「システム」→「システムの詳細設定」→「システムの保護」タブ内で設定します。
 復元する場合はドライブ又はフォルダを右クリックして、「プロパティ」→「以前のバージョン」より該当の復元ポイントを選んで復元します。
 有効に設定すれば、設定した容量内で復元ポイントが自動で作成されます。(容量を超えた場合古いバックアップから自動で削除されます。)フォルダ、ドライブ単位のイメージバックアップです。OS自体を含むイメージングではないので、別ファイルに復元してもあくまでフォルダおよびドライブに含まれるファイルが復元できるだけで、そのOS自体が動作することはありません。


 ・ファイル履歴

 ドライブ又はフォルダ単位で作成される復元ポイントです。スタートボタン右クリック→「設定」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」からファイル履歴を設定する外付けHDD、USBを指定します。
 復元する場合はドライブ又はフォルダを右クリックして、「プロパティ」→「以前のバージョン」より該当のファイル履歴を選んで復元します。
 外付けHDD、USBの容量内でファイル履歴が最短で10分毎、自動で作成されます。フォルダ、ドライブ単位のイメージバックアップです。OS自体を含むイメージングではないので、別ファイルに復元してもあくまでフォルダおよびドライブに含まれるファイルが復元できるだけで、そのOS自体が動作することはありません。
 仕組みは復元ポイントと全く同じなのですが、外付けHDD、USBに保存でき、履歴の作成タイミングを設定できるところが違います。


 ・バックアップと復元(Windows7)

 Windows7からあるバックアップと復元の方法です。「エクスプローラー」→「↑」→「コントロールパネル」→「バックアップと復元(Windows7)」よりシステムイメージの作成、システム修復ディスクの作成を行います。
 外付けHDD、USBにバックアップを作成します。バックアップの設定より、定期的にバックアップを行うことができます。
 復元する場合は同じ画面から復元を選びます。システムの損傷でOSが起動しない場合は、システム修復ディスクを利用してOSの回復が可能です。
 OSを含む統合イメージバックアップです。システム修復ディスクが必要ではありますが、復元すると、そのOS自体を動作(回復)させることができます。


 ~ Windows Server 2016 ~

 ・Windows Server バックアップ

 機能が有効化されていない場合は「サーバマネージャ」→「役割と機能の追加」よりWindows Server バックアップをインストールし、その後、「ダッシュボード」→「ツール」→「Windows Server バックアップ」よりサーバー全体バックアップを選択すると、OS自体を含む統合イメージバックアップが可能です。復元すると、そのOS自体を動作(回復)させることができます。一方カスタムバックアップの場合は、バックアップの対象、保存先、実行タイミングを設定し、ドライブ単位、フォルダ単位のイメージバックアップを行います。この場合は、OS自体を含むイメージングではないので、別ファイルに復元してもあくまでフォルダおよびドライブに含まれるファイルが復元できるだけで、そのOS自体が動作することはありません。
 Hyper-Vによる仮想化を行っている場合、ホスト上でWindows Server バックアップを行うとゲストOS含めたバックアップが取得できますが、ゲストOS上で行うとゲストOSのみのバックアップとなります。


 ・エキスポート・インポート

 Hyper-Vによる仮想化を行っている場合、ゲストOSのエキスポートにより、仮想化環境のバックアップが可能です。インポートにより仮想化環境の復元が可能せす。仮想化環境のイメージバックアップですが、ホスト環境がある前提で復元が可能です。ホスト環境がないと復元できません。


 ・VSS:ボリューム・シャドウ・コピー・サービス

 共有ファイルに対してアクセス中のファイルであってもバックアップを取得できる仕組みです。「コンピューターの管理」→「共有フォルダ」を右クリック→「すべてのタスク」→「シャドウコピーの構成」から設定します。
 復元する場合はドライブ又はフォルダを右クリックして、「プロパティ」→「以前のバージョン」より該当のシャドウ・コピーを選んで復元します。
 フォルダ、ドライブ単位のイメージバックアップです。OS自体を含むイメージングではないので、別ファイルに復元してもあくまでフォルダおよびドライブに含まれるファイルが復元できるだけで、そのOS自体が動作することはありません。

2.サードパーティのバックアップ製品を導入する理由

 ~ メリット:操作が簡単 ~

 OS標準のバックアップは操作方法が複雑ですが、サードパーティ製品の場合、できる限り簡単にバックアップが取得できるよう画面構成をシンプルにしています。


 ~ メリット:バックアップの一元管理が可能 ~

 OS標準のバックアップでは、各PC、サーバー単位で各画面からバックアップを設定する必要がありますが、サードパーティ製品の場合、各端末のバックアップを一画面で設定でき、一元管理が可能です。


 ~ メリット:OS混在環境でも一元管理が可能 ~

 Windows、LinuxのOS混在環境でも、同一のサードパーティ製品でバックアップ、復元の一元管理が可能です。


 ~ メリット:より簡単な統合イメージングバックアップ ~

 OS標準のバックアップでも、統合イメージングバックアップは可能ですが、サードパーティ製品の場合、システム修復ディスクの作成等、気にすることなく簡単にバックアップを取得できます。さらに仮想化環境であってもホスト、ゲストを気にせず統合バックアップ可能です。


 ~ メリット:バックアップの容量が小さい ~

 重複排除と呼ばれる機能により、2回目以降のバックアップは差分だけとすることができ、バックアップ容量がOS標準に比べ小さくなります。この機能はサードパーティ製品ごと差があります。


 ~ メリット:バックアップが速い ~

 OS標準のバックアップよりも早いです。この機能はサードパーティ製品ごと差があります。


 ~ メリット:バックアップの履歴管理機能が充実 ~

 一週間でバックアップを上書きするローテーション運用であったり、DATやLTOへのバックアップ退避などOS標準ではできない複雑な設定が可能です。


 ~ メリット:クラスタバックアップ、クラウドバックアップが可能 ~

 これらの機能はサードパーティ製品でもオプション対応になる場合が多いですが、運用しながらリアルタイムバックアップともいうべき、クラスタバックアップが可能です。この場合、障害時、バックアップ先に切り替えることで瞬時に障害回復が可能です。このバックアップ先をAWSのEC2、Azure、Google Cloud上に設定するクラウドバックアップに対応するオプションも、各社から販売されています。又、クラスタバックアップの際問題となるネットワーク帯域負荷についても、利用帯域設定により、本番環境に影響を与えないようにバックアップを行う調整もできます。


 ~ デメリット:高額 ~

 サードパーティのバックアップ製品は高額です。ただし同様の機能を、社内でバッチやプログラムを組み合わせて開発するよりは、安いと言えるかもしれません。


 ~ デメリット:OSのアップデートにより不具合が出る可能性がある ~

 サードパーティのバックアップ製品を導入する場合、これが一番の問題になります。OS側ではバックアップ製品を考慮してアップデートを行う訳ではありませんので、何等かのトラブルが出る可能性がある訳ですが、この時どれだけ早く対応してくれるのかは、サードパーティ次第です。


3.サードパーティのバックアップ製品

 企業で導入するサードパーティのバックアップ製品は、以下の製品の場合が多いです。
 バックアップはBCPやDRに基づいて計画されてますので、新興メーカーの製品がどれだけ高機能であったとしても、バックアップに何らかの不具合があったとすると本末転倒となるので、多くの企業での導入実績のあるメーカーのソフトでないと、BCP、DRの計画時点で排除される傾向が強いです。


 ~ arcserve ~

 arcserve Backup

 arcserve UDP (Unified Data Protection)

 arcserve Replication / High Availability

 日本国内トップシェアの統合型バックアップソフトです。主に3製品に分類され、arcserve Backupが統合イメージングバックアップ。arcserve UDPが仮想化環境の統合イメージングバックアップ。arcserve Replicationがレプリケーションバックアップです。

arcserve(https://arcserve.com/jp/)


 ~ VERITAS ~

 VERITAS NetBackup

 VERITAS Backup Exec

 NetBackupは大企業、Backup Execは中小企業を対象としたバックアップ製品です。どちらも統合イメージングバックアップを簡単な操作で実行できます。

VERITAS(https://www.veritas.com/ja/jp/product/backup-and-recovery)


 ~ Acronis ~

 Acronis Backup

 シンプルな操作性を追求した、統合イメージングバックアップ製品です。

Acronis(https://www.acronis.com/ja-jp/)



 ~ シマンテック ~

 Symantec Ghost Solution Suite

 シマンテックはセキュリティ対策ソフトメーカーとして有名ですが、バックアップの分野ではGhostと呼ばれるソフトが有名です。これは、他のメーカーで紹介している製品と違い、エンドポイント(PC、タブレット)向けのバックアップソリューションで、エンドポイントを丸ごとイメージバックアップする場合に使用します。これによりバックアップというよりも新規に端末を作成する場合にOSのインストール、各種ドライバ、ミドルウェアのインストールという手間を、イメージの復元によりなくすことができるソフトです。

Symantec Ghost Solution Suite (https://www.symantec.com/ja/jp/products/ghost-solutions-suite)



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