メモリは、ハードディスクから読み出したデータを一時保存するための、揮発性記憶集積回路です。
メインメモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)とも呼ばれます。
読み書きの速度が、ハードディスクよりも速く、メモリに一時保存されたデータであればハードディスクへのI/Oが必要ないので、その分処理を高速に行うことが出来ます。
1.メモリの規格
DDR規格
DDRとはDDR SDRAM:Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memoryの略称。メモリの規格です。DDR3、DDR4、DDR5という数字は世代を表します。
数字が進むにつれその処理速度、省電力性などがアップデートされていきます。
「DDR2」、「DDR3」は過去の規格となり、現在の主流は「DDR4」です。
この「DDR4」や「DDR3」には互換性がなく、「DDR3」から「DDR4」に乗り換える場合、CPU、マザーボードを交換しないといけないというレベルです。インテルCPUの場合、第6世代以降の製品でないと「DDR4」に対応していません。第12世代以降の製品でないと「DDR5」に対応していません。
最新規格「DDR5」は2020年7月に最終策定となりました。
2021年10月に発売された、インテルの第12世代CPUが、DDR5に対応しました。同時に、各社からDDR5に対応したマザーボードも発売されました。AMDは現状対応していません。2022年後半発売予定の、第6世代CPU(Zen4)において、DDR5対応が予定されています。
下図の通りメモリモジュール規格、メモリチップ規格によってさらに細分化します。
メモリモジュール規格は転送速度
メモリチップ規格はクロック周波数
に関係します。
規格 |
メモリモジュール規格 |
メモリチップ規格 |
転送速度 |
クロック周波数 |
容量 |
DDR5 |
PC5-51200 |
DDR5-6400 |
51.2GB/s |
6,400MHz |
8GB~32GB |
PC5-44800 |
DDR5-5600 |
44.8GB/s |
5,600MHz |
8GB~32GB |
PC5-42666 |
DDR5-5333 |
42.7GB/s |
5,333MHz |
8GB~32GB |
PC5-40960 |
DDR5-5120 |
40.1GB/s |
5,120MHz |
8GB~32GB |
PC5-40000 |
DDR5-5000 |
40.0GB/s |
5,000MHz |
8GB~32GB |
PC5-38400 |
DDR5-4800 |
38.4GB/s |
4,800MHz |
8GB~32GB |
PC5-32000 |
DDR5-4000 |
32.0GB/s |
4,000MHz |
8GB~32GB |
PC5-28800 |
DDR5-3600 |
28.8GB/s |
3,600MHz |
8GB~32GB |
PC5-25600 |
DDR5-3200 |
25.6GB/s |
3,200MHz |
8GB~32GB |
DDR4 |
PC4-34100 |
DDR4-4266 |
34.1GB/s |
4,266MHz |
4GB~16GB |
PC4-25600 |
DDR4-3200 |
25.6GB/s |
3,200MHz |
4GB~16GB |
PC4-21333 |
DDR4-2666 |
21.3GB/s |
2,666MHz |
4GB~16GB |
PC4-19200 |
DDR4-2400 |
19.2GB/s |
2,400MHz |
4GB~16GB |
PC4-17000 |
DDR4-2133 |
17.1GB/s |
2,133MHz |
4GB~16GB |
DDR3 |
PC3-14900 |
DDR3-1866 |
14.9GB/s |
1,866MHz |
4GB~16GB |
PC3-12800 |
DDR3-1600 |
12.8GB/s |
1,600MHz |
4GB~16GB |
PC3-10600 |
DDR3-1333 |
10.6GB/s |
1,333MHz |
4GB~16GB |
PC3-8500 |
DDR3-1066 |
8.5GB/s |
1,066MHz |
4GB~16GB |
LP-DDR規格
LP(Low Power:低電力)-DDR規格のことで、主にスマホ、モバイル端末に利用されるメモリです。電力規格以外はDDRの規格と概ね同じで、LP-DDR3、LP-DDR4、LP-DDR5とあります。
派生規格として、LP-DDR4をさらに10%省電力化したLP-DDR4Xがあります。
LP-DDR5Xは、正式に規格化されていません。
DIMM規格
DIMM規格とは複数のDDRチップをプリント基板上に搭載し、メモリとして製品化されますがその配置、ピンの数などの規格です。

DIMM(デスクトップ用メモリ)とS.O.DIMM(ノートパソコン用メモリ)があります。全く大きさが違いますので、一目瞭然ですが、ネット等で購入する際は注意して下さい。ピン数でも判断できます。

デュアルチャネル、トリプルチャネル
例えば8GBメモリを増設する場合、同一製品で4GBのメモリ×2を購入した方が速くなります。これを「デュアルチャネル」といいます。
但し、メモリが「デュアルチャネル」対応となっていないとその効果はありません。同様に3枚組で使用すると処理速度が上がる「トリプルチャネル」もあります。
2.メモリの製造メーカー
ADATA、CENTURY MICRO、CFD、Corsair、Crucial、Kingston、SunMax、Sumsung、I/Oデータ、バッファロー等、数多くのメーカーがあり、どれも突出したシェアではありません。
昔は東芝、三菱、NEC、日立、富士通など日本の大手メーカーもメモリを取り扱っていましたが、全てこの分野から撤退しています。東芝メモリは、高収益なNAND型フラッシュメモリ(USBやSSDで使用される)の生産にシフトしています。
3.SRAMとDRAM
揮発性記憶集積回路(電圧をかけていないとデータが消える)にはSRAMとDRAMの2種類があります。
SRAMはCPUのキャッシュとして使用されます。超高速な記憶集積回路ですが、発熱量が高く、非常に高価です。
一方DRAMはメモリに使用されます。記憶集積回路であり、発熱量が少なく、低価ですが速度はそれなりです。もちろんHDDに比べると高速です。パソコン内で各記憶装置が適材適所で使用されているというところでしょうか。
種類 |
価格 |
処理速度 |
発熱量 (消費電力) |
用途 |
備考 |
SRAM |
高価 |
超高速 |
大 |
CPUキャッシュメモリ L1、L2、L3 |
リフレッシュ動作不要 |
DRAM |
安価 |
高速 |
小 |
メモリ |
一定サイクルでリフレッシュ要 |
※リフレッシュ:電荷を回復させる動作