システムはそもそも、業務を効率化するためにあります。特に単純な繰り返し作業は、システムとって、効率化による結果を出しやすい得意分野です。
例えば伝票入力するだけで、納品書、請求書発行、入金管理、簿記の仕訳入力まで一連の処理をシステム化すれば、ヒューマンエラーの抑止、業務効率化につながり、結果、勤務時間の短縮、人件費の抑制が進み、企業にとって、大きなメリットとなります。
このシステムによる業務の効率化を、AIを利用することで、さらに一歩進め、単純な繰り返し作業だけではない複雑なホワイトカラーの業務まで対象にしようとする動きが進んでいます。
この考え方をRPA(Robotic Process Automation)と呼びます。2017年前半から、盛んに提唱されるようになりました。好景気が続き、人材の確保が難しくなってきている、そして「働き方改革」が盛んに言われる時代背景によるものです。
また、アプローチは違うのですが、たとえ、システム化して業務を効率化しようとしても、その分システム開発費用が高くつき、結果、メリットが感じられない。というケースが良くあります。
これを、解決するための一つの方法として、BRMSという開発手法が考えられました。システムの機能を単純な「ルールのかたまり」ととらえ、そのルールを組み合わせてシステム開発することで、部品(ルール)の共通化を図り、無駄な開発工数、費用を抑えようというものです。
ここでは業務効率化の「RPA」、システムの効率化「BRMS」についてまとめたいと思います。
1.RPA(Robotic Process Automation)
複雑なホワイトカラーの業務をAIを利用して自動化するというものです。
具体的には、1つのアプリケーションだけでなく、複数のアプリケーションを横断的に学習し、代理で処理を行うとされています。
例えば、交通費清算の場合、ネットで交通費を調べる、期間によっては定期代を調べる、EXCELの清算書に入力する、という一連の行動をコンピューターに記憶させることで、以後コンピューターがその操作を肩代わりします。
EXCELのマクロもある意味、RPAと言えると思いますが、アプリケーションを横断的に学習することはできません。アップルのSiriや、WindowsのCortanaのようにOSレベルで処理を自動化することを言います。しかし、SiriもCortanaも、RPAと呼ぶには程遠いレベルです。
RPA製品
RPAの製品としてはソフトバンクが「SynchRoid」、NTTデータが「WinActor」を販売しています。
SynchRoid:ソフトバンク
サードパーティであるRPAテクノロジーズの製品「BizRobo!」のソフトバンク版です。RPAテクノロジーズとの業務提携により自社製品名をつけ、販売しています。
SynchRoid(https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2017/20171019_01/)
WinActor:NTTデータ
そもそも業務効率化ツールとして開発販売していたものですが、後付ですが「RPAツール」として扱われています。
WinActor(http://www.nttd-bb.com/service/winactor/)
その他、UiPath、Automation Anywhere、Kofax Kapow等の外国製品。これらは販売にコンサルが関わってくると思います。富士通、NECも積極的なRPA製品開発、販売の動きがあります。
2.BRMS(Business Rule Management System)
BRMSは、2010年頃から提唱されるようになりました。
例えば「休日をチェックする」という作業があったとして「土日かどうかチェックする」「祝日かどうかチェックする」というようにチェックしなければならないことを、細分化した上で、各々を独立したプログラムとして開発する手法です。
土日チェックは必要だけれど、祝日チェックは必要ないという場合、プログラムが独立してしているので、そのルールを適用するかしないかというだけの話になります。
この独立したプログラムを組み合わせることで一つのアプリケーションを作成します。
実際システム開発者は、無意識にBRMSを実践しています。そもそもオブジェクト指向の概念そのものだからです。ですが、このBRMSを意識して開発を進めると、よりクラスの重要性を意識しながらプログラムするようになると言われています。
このBRMSの手法を実践した場合の最大のメリットは、
・急な仕様変更にも柔軟に対応できるようになること
・他のアプリケーションへの再利用が容易になること
です。
急な仕様変更にも柔軟に対応できるようになるというのは、上記の例の場合「土日かどうかをチェックする。」ことが不要になった場合、そのルールのみ無効化すれば良いからです。
他のアプリケーションへの再利用が容易になるというのは、プログラムを細かく分離して作成することで、汎用的なモジュールが多く作成されることにつながり、他システムで容易に使用できるモジュールが多数生み出されるからです。
この開発手法に沿って作成されたツールをBRMSツールと呼び、製品として販売されています。
例えば、Force.comはSalesForce.comが手掛けるBRMSツールです。
ユーザーはビジネスルールを設定するだけで、短期間でシステムを開発できます。