海外で利用できるテレビ・動画配信サービスは?

 海外に行くと現地テレビの言語が分からず、日本の動画配信サービスを視聴できないか考えると思います。結論から言うと短期旅行・短期出張の場合は動画配信サービスのダウンロード視聴で対応できると思います。
 一方で長期出張、留学、移住など長期滞在の場合はダウンロード視聴に期限があるため、ほとんどの動画配信サービスは利用できません。このためVPNサービスを利用てIP偽装を安易に勧めるサイトをよく見かけるのですが、このサイトは情シス向けサイトなので、VPNサービスにはセキュリティ的にリスクがあることをお示ししたいと思います。その上で別の代替手段も提示します。

1.海外短期滞在で視聴できる動画配信サービス

 メジャーな動画配信サービスについて海外短期滞在で利用できるかまとめています。
 放映権の問題でほとんどの動画配信サービスは海外でストリーミング視聴することができませが、一部、動画をダウンロードすることで海外でオフライン視聴できるサイトがあります。
 ただし各動画配信サービスごとダウンロード本数上限や視聴期限があります。
 視聴期限は視聴開始からではなくダウンロード開始からの場合もありますので注意して下さい。


動画配信
サービス
海外での利用 備考
ストリーミング
視聴
ダウンロード
視聴
ダウンロード
本数上限
ダウンロード
視聴期限
Amazon
プライムビデオ
25本 視聴開始から
48時間
Amazonオリジナルコンテンツ(およそ250本)のみ海外でもストリーミング視聴可。
dTV × × 無制限 視聴時チェック ダウンロードした動画の視聴時にオンライン認証が必要です。Android版のみオフライン再生に対応しており国内でオンライン認証しておけば海外でオフライン視聴できる可能性はありますが、オフライン不可の作品もあり確実性はありません。
U-NEXT × 無制限 ダウンロード開始
から48時間
旅行前ギリギリにダウンロードしても2日間しか利用できないということです。
Netfix 無制限 作品による
最短
ダウンロード開始
から48時間
ストリーミング視聴は旅行先の国のNetfixに切り替わるので日本で視聴している作品とラインナップが変わります。もちろん邦画はありません。日本語字幕で見れる作品見れない作品があります。
ダウンロード視聴は作品によりオンライン再認証が必要で結果見られない場合があります。
NHK
オンデマンド
× ×
hulu × ×
FOD × ×
TELASA × ×
ABEMA × 海外版ABEMAニュースチャンネル、麻雀チャンネル、将棋チャンネル、釣りチャンネルがストリーミング視聴できます。
これらはプレミアム会員でなくても一部見逃し配信を除き、無料で視聴可能です。
TELASA × ×
テレ東BIZ ほとんどのコンテンツがアメリカ合衆国(グアム除く)ではストリーミング、ダウンロード共に視聴可能です。
WOWWOW
オンデマンド
× ×
dアニメストア × × 無制限 ダウンロード開始
から48時間
iOS版及びAndroid版のみダウンロード視聴に対応していますが、オフライン不可の作品もあり確実性はありません。
旅行前ギリギリにダウンロードしても2日間しか利用できないということです。
Disney+ × × 無制限 30日間 iOS版及びAndroid版のみダウンロード視聴に対応していますが、オフライン不可の作品もあり確実性はありません。
DAZN × ×

 おすすめはAmazonプライムビデオ一択です。確実に25本オフライン視聴できるのは大きな利点です。
 Netfixは旅行先のNetflixのラインナップや日本語字幕対応など事前に調べることができれば良いのですが、情報は得にくく、現地に行ってみないと分からないとなると思います。
 他に、無料でも見れるABEMAのニュースは非常に役立つと思います。
 出張先がアメリカで出張中も日本国内の経済情報を知りたいという方はテレ東BIZに加入しておくと良いでしょう。


2.海外長期滞在で視聴できる動画配信サービス

 ダウンロード視聴の期限は概ね30日間が限界です。それ以上海外に滞在する場合はストリーミング視聴できる動画配信サービスのみとなります。

動画配信
サービス
海外での利用 備考
ストリーミング
視聴
Netfix ストリーミング視聴は旅行先の国のNetfixに切り替わるので日本で視聴している作品とラインナップが変わります。もちろん邦画はありません。日本語字幕で見れる作品見れない作品があります。
ABEMA 海外版ABEMAニュースチャンネル、麻雀チャンネル、将棋チャンネル、釣りチャンネルがストリーミング視聴できます。
これらはプレミアム会員でなくても一部見逃し配信を除き、無料で視聴可能です。
テレ東BIZ ほとんどのコンテンツがアメリカ合衆国(グアム除く)ではストリーミング視聴可能です。

 ※Amazonプライムビデオはオリジナルコンテンツ(松本人志のドキュメンタル、戦闘車等)の一部がストリーミング視聴可ですが。およそ250本と本数が少ないため除外しています。

 Netfixは全世界190か国で動画配信サービスを展開しており、Netflixの動画配信サービスが提供されている国に行けば日本のNetfixで契約しても、渡航先のNetfixに切り替わりストリーミング視聴できます。これはNetfixだけのサービスで、他に世界展開しているAmazonプライムビデオ、Disney+、DAZNは日本で契約したら日本でしか視聴できません。
 問題は渡航先のNetflixに切り替わるので邦画がないのは当然として、洋画は日本語字幕は人気作品にはあると言われていますが ある作品/ない作品 がありそれは渡航先に行かないと分からないということです。
 他に、無料でも見れるABEMAのニュースは非常に役立つと思います。麻雀チャンネル、将棋チャンネル、釣りチャンネルも好きな人にとっては重宝すると思います。
 渡航先がアメリカで渡航中も日本国内の経済情報を知りたいという方はテレ東BIZに加入しておくと良いでしょう。


3.VPNサービスは危ない

 VPNサービスとは

 上記の通り、海外で視聴できる動画配信サービスは限られています。このため何とか海外でも動画配信サービスを視聴できないか?これを解決する方法としてVPNサービスがあります。
 このVPNサービスは海外から日本国内のVPNサーバーを経由し日本のIPアドレスにIPスプーフィング(IP偽装)して動画配信サイトにアクセスすることで、動画配信サイトに日本国内からのアクセスと誤認させ動画配信サービスを利用するものです。
 ところで、このVPNサービスですが、一般的にシステムで云うVPNと意味が違います。本来VPNはインターネットVPNやIP-VPNのように企業が本社-支店間を安全なネットワークで接続する方法のことです。一方、ここでいうVPNサービスは確かに利用者と各国のVPNサーバーをVPNで結んではいますが、これに加えてプロキシサーバー機能を提供し、各国のIPでインターネット通信ができるようにするサービスです。
 ある意味IP偽装によるインターネット通信サービスといえるので、VPNよりもTorのような匿名インターネット通信の方がサービス的に近いです。


 VPNサービスによるIP偽装の違法性とリスク

 このVPNサービスによるIP偽装自体は犯罪ではありません。
 IP偽装して海外にいるのに動画配信サービスを日本国内同様に利用すること。この違法性はグレーです。動画配信サービス業者の多くは映画等配給業者に日本国内に限定した放映権料を払い放映権を得ています。利用者は利用料を支払うことで日本国内限定の譲渡不能の使用権を得て動画を視聴することができます。しかし、渡航先国で動画を放映する権利は日本の動画配信サービス業者にはありません。なので渡航先国から日本の動画配信サービスにアクセスしても動画を視聴できません。渡航先国での放映権を持たないからです。にもかかわらずIP偽装という違法な方法で渡航先国で映画を視聴した場合、渡航先国での放映権を犯したとして映画配給会社への権利侵害とも考えられます。
 しかし一般的にこの件で著作権侵害と言われたりはしないでしょう。動画を違法でアップロードしているような大物は著作権違反による損害賠償も莫大になり調査すると思いますが、IP偽装している程度の小物は調査する費用の方が高くつきますし人数も多いので相手にしないでしょう。
 あるとしてもIPアドレスを拒否されVPNサービスの費用を払っているにも関わらず動画配信サービスが見れなくなる程度です。


VPNサービスは危ない

 一番の問題はVPNサービスを提供する業者を信頼できるのか?ということです。これらIP偽装を目的としたVPNサービス業者はVPNルータを利用する方式ではなくソフトウェアVPNというアプリケーションをVPNサーバーと利用者側の端末にインストールしてVPN通信を行う方式です。つまりVPNサービス業者が提供するソフトウェアを信じインストールしなければなりません。VPNサービス業者の中には運営者匿名の業者もあり、そんな中トロイの木馬やバックドアなどの悪意ある機能がソフトウェアに組み込まれていないと信じることができるのかという点につきます。

4.VPNサービス以外の方法

渡航先国の有料テレビサービス(合法)に加入

 在留日本人の多い国には日本のTV番組を合法に配信するテレビ会社がある場合があります。IPテレビ、ケーブルテレビ、衛星放送などの各手法で視聴提供されています。これに加えインターネット上でのオンデマンド配信を行っています。デメリットは日本のTV番組フルではなく一部の番組に絞られているので番組数が少ないことです。

テレビ会社 月額料金 オンデマンド
配信
備考
テレビジャパン アメリカ
カナダ
約3,000円
約2,000円
ニュース番組を中心にNHK、Eテレ、民放の一部の番組を放送
おはよう日本、ニュース9、朝ドラ、大河ドラマ等
運営するNHKコスモメディアアメリカはNHKの関連会社
JSTV 欧州/中東
ロシア/北アフリカ
約6,000円 ニュース番組を中心にNHK、Eテレ、民放の一部の番組を放送
放送内容は上記「テレビジャパン」と類似。
運営するNHKコスモメディアヨーロッパはNHKの関連会社

日本のテレビにリモート接続(合法)

 インターネット接続に対応したテレビチューナーと録画機器を実家や自宅に設置することで海外から日本のテレビにリモート接続し視聴するという方法です。
 おすすめはI-O DATAの地上・BS・CS対応TVチューナ「REC-ON」と録画機器「REC-BOX」です。
 実勢価格は「REC-ON」が約20,000円、「REC-BOX」が2TBで約20,000円です。大手家電メーカーで唯一海外で利用できることをうたっています。

I-O DATA(https://www.iodata.jp/ssp/av/watch/)

 本来リモートでテレビ視聴可能な機器はA-PAB規定と呼ばれる著作権規制により、90日でリモート視聴できなくなり、再度TVチューナーとペアリングしなければなりません。
 つまり、90日ごと日本のTVチューナーを設置している場所に渡航先から戻らないといけないのです。SONY、PanasonicなどのTVチューナーはすべてこの規定に沿っています。
 しかしI-O DATAは他社がTVチューナーと録画機器一体型製品を販売する中、あえてTVチューナーと録画機器を別々に販売し、規制のかかるTVチューナーではなく録画機器に海外から接続しているのでA-PAB規定にはあたらないという天才的な解釈でA-PAB規定の90日規制を回避しています。
 また、逆に言うと90日以内であればリモート接続可能なTVチューナーであればどのメーカーの製品でも海外からTV視聴できるということです。
 他に同様の製品としてSlingboxWAVECASTなどありますが、これらの製品は海外を拠点として「A-PAB規定ってなんですか?」的スタンスの製品です。

有料テレビサービス(グレー)に加入

 おそらく許可なく日本のTV番組を動画配信サービスとして有料で提供している業者の有料プランに加入する方法です。
 昔は、日本のTV番組をVHSに録画しレンタルビデオとして在留日本人に貸し出す店が多くの国にありました。現代ではインターネットの普及で海外に拠点を置きこのようなサービスを提供しています。
 例えばYoutubeで著作権違反の動画があったとして視聴する側の責任は問われません。アップロードした人は責任を問われます。同様に、有料テレビサービスを運営する業者は責任を問われますが、有料テレビサービスで視聴しても責任を問われることはおおよそないと思われます。しかし費用を払って意図的に視聴するためリスクがないとは言えません。
 渡航先各国にこのようなサービスが多くあります。一例としてJapan TV、MUJI TVこれらは専用のアプリをインストールして視聴します。こうなるとリスク的にはVPNと変わりありません。他にもローカルのケーブルテレビのような現地業者も国によっては独自に日本のTV番組を提供しています。

5.どうしてもVPNサービスを利用する場合

 どうしてもVPNサービスを利用する場合、動画視聴専用の端末を準備して個人情報を一切入力しない等の対策が必要だと考えます。
 VPN業者としてはNordVPNが今のところ候補に挙がると思います。特に悪い評判はありません。ログを残さない方針だそうですので、身バレは一切なさそうです。ログを残す法律から逃れるためパナマに拠点を置いています。VPNサーバーを2つ以上経由して対象サイトに接続しているのでさらに高い匿名性が期待できます。最も60,000を超えるノードを経由するTorに比べると弱いものですが。



おすすめの関連記事

動画配信サービスおすすめ
おすすめの動画配信サービスは?様々な切り口で動画配信サイトを比較しています。