2D画像編集ソフトまとめ

 2D画像編集ソフトについては、Adobe製品一強です。一昔前はマクロメディアとAdobeが競合製品を出し合いシェア争いを繰り広げていましたが、2005年にAdobeがマクロメディアを買収したことで、独占状態となりました。
 デザイナー側からすると、Adobe製品さえ習得すればどの会社でもデザインができる状況となり。良い状況になったと言えます。
 製品価格についてはサブスクリプションモデル(月額料金制)に移行し、通算すると若干高くなったようにも思いますが、昔のように10万を超えるソフトを一括購入するということなく、月々3000円程度で利用できるというのは大きなメリットであり、さらに最新のバージョンをいつでも利用できるということで、買い替えの必要もなくなりました。昔はバージョンの違いによってデータ連携に問題が発生することもありましたが、こういった問題も今後なくなると思われます。

 以下、このAdobeの2D画像編集ソフト「Illustrator」、「Photoshop」についてまとめていきたいと思います。

1.ベクター系2D画像編集ソフト「Illustrator」

 IllustratorはAdobeの開発、販売するベクター系2D画像編集ソフトです。
 ベクター系ソフトとは点や線など各オブジェクトを組み合わせて画像を作成・編集するソフトです。最大の特徴としてはどれだけ拡大してもぼやけない(モアレしない)画像を作成できることです。
 この点がラスター系ソフトとの一番の違いです。この特性により、例えば駅やビルの広告などの大きな画像作成に向きます。
 もう一つ、ロゴ等のデザインはそもそも点や線の組み合わせで作成するものなので、Illustratorの操作性と相性が良く、ロゴデザイン、そこから発展して名刺作成、印刷物作成等幅広くIllustratorが利用されています。
 DTPについてはAdobe InDesignという別のソフトが用意されていますが、そのDTP内で利用するベクター画像を作成する際も、Illustratorを利用します。

バージョン

バージョン名 発売日 延長サポート期日 備考
10 2001年11月 終了 パッケージ版
11(CS) 2003年10月 終了 パッケージ版
12(CS2) 2005年4月 終了 パッケージ版
13(CS3) 2007年6月 終了 パッケージ版
14(CS4) 2008年12月 終了 パッケージ版
15(CS5) 2010年5月 終了 パッケージ版
16(CS6) 2012年5月 2017年5月31日※ パッケージ版
17(CC) 2013年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
18(CC2014) 2014年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
19(CC2015) 2015年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
20(CC2015.3) 2016年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
21(CC2017) 2016年11 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
22(CC2018) 2017年10月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
23(CC2019) 2018年10月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。

※16(CS6)は最後のパッケージ版として通常のサポート期間をさらに延長して2017年5月31日までサポートを継続しましたが、その期限も切れ、更新プログラム等今後一切のサポートを行わないとアナウンスしました。ただしセキュリティパッチに関しては、状況に応じて検討するとのことです。AdobeではCCへの移行を強く推奨しています。


サブスクリプション料金(月額料金)

購入者 購入プラン 料金 備考
個人 年間プラン(月々払い) \2,480- / 月 (税別) 1年縛りのプランです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として請求されます。
年間プラン(年払い) \26,160- / 年 (税別) 1年縛りのプランの一括払いです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として差し引かれた上で返金されます。
月々プラン \3,480- / 月 (税別) 月々のプランです。解約料はかかりません。
法人 - - 単体プランなし。コンプリートプランでの提供。
学生・教職員 年間プラン(月々払い) \980- / 月 (税別) 1年縛りのプランです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として請求されます。
年間プラン(年払い) \11,760- / 年 (税別) 1年縛りのプランの一括払いです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として差し引かれた上で返金されます。

 コンプリートプランというAdobeの製品がすべて利用できるプランもありますが、ここではIllustrator単体のプランのみ紹介しています。

 全てのプランで自動更新がデフォルトONになっています。継続的に使用するかしないか状況に応じて設定変更しておくべきです。

 年間プランは、更新月の前月のみ解約料なしで解約できます。このタイミングを覚えておかないといけないのでかなり大変です。

 個人の場合、フリーのデザイナー等、確実に一年以上利用する方以外は、最初、少々高いですが月々プランで契約することをお勧めします。契約以降、使用状況を見て一年縛りに切り替えるかどうか考えることが出来ます。プルダウンのデフォルトが年間プラン(月々払い)になっているので注意して下さい。

 マルチプラットフォームでWin、macOSどちらにもインストールできます。1ユーザーで2台までインストール可能ですが同時使用は1台のみです。

 全プランでクラウドストレージ100GB、Adobe FontsAdobe PortfolioAdobe Sparkの利用が可能です。


2.ラスター系2D画像編集ソフト「Photoshop」

 PhotoshopはAdobeの開発、販売するラスター系2D画像編集ソフトです。

 ラスター系ソフトとはラスターデータである写真等画像を加工するソフトです。Photoshopという名前だけあって、写真の輝度を調整したり、セピア調にしてみたり、人物の血色を良くしたり、ありとあらゆる画像修正が可能です。
 ベクターデータと違い、ラスターデータは拡大するとぼやけ(モアレ)てしまいます。そのラスターデータを扱いますので使用用途によっては元となる画像の解像度、出力する解像度に細心の注意が必要になります。
 Webで使用する画像を作成する際はIllustratorよりもPhotoshopを利用するケースが多いです。

バージョン

バージョン名 発売日 延長サポート期日 備考
7 2002年5月 終了 パッケージ版
8(CS) 2003年10月 終了 パッケージ版
9(CS2) 2005年4月 終了 パッケージ版
10(CS3) 2007年6月 終了 パッケージ版
11(CS4) 2008年12月 終了 パッケージ版
12(CS5) 2010年5月 終了 パッケージ版
13(CS6) 2012年5月 2017年5月31日※ パッケージ版
14(CC) 2013年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
15(CC2014) 2014年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
16(CC2015) 2015年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
17(CC2015.5) 2016年6月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
18(CC2017) 2016年11 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
19(CC2018) 2017年10月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。
20(CC2019) 2018年10月 クラウド版。サブスクリプション化によりサポート期限の概念なし。

※16(CS6)は最後のパッケージ版として通常のサポート期間をさらに延長して2017年5月31日までサポートを継続しましたが、その期限も切れ、更新プログラム等今後一切のサポートを行わないとアナウンスしました。ただしセキュリティパッチに関しては、状況に応じて検討するとのことです。AdobeではCCへの移行を強く推奨しています。


サブスクリプション料金(月額料金)

 現在Photoshopを利用したい場合、以下のフォトプランに加入する必要があります。フォトプランとはPhotoshopに加えてLightroomが利用できるプランです。

 2018年までPhotoshop単体プランとフォトプランの2つが存在しましたが、フォトプランに統合されています。これにより月々の利用料金は他製品の単体プランより安いものの、単体プランで可能な月々契約ができず、年間契約のみとなりました。
 また、学生・教職員向け料金が個人向け料金と変わりません。他の単体プランよりフォトプランが安く提供されている影響かと思います。

購入者 プラン 購入プラン 料金 備考
個人 フォトプラン
(オンラインストレージ20GB)
年間プラン
(月々払い)
\980- / 月 (税別) 1年縛りのプランです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として請求されます。
年間プラン
(年払い)
\11,760- / 年 (税別) 1年縛りのプランの一括払いです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として差し引かれた上で返金されます。
フォトプラン
(オンラインストレージ1TB)
年間プラン
(月々払い)
\1,980- / 月 (税別) 1年縛りのプランです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として請求されます。
年間プラン
(年払い)
\23,760- / 年 (税別) 1年縛りのプランの一括払いです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として差し引かれた上で返金されます。
法人 - - - フォトプランなし。コンプリートプランでの提供。
学生・
教職員
フォトプラン
(オンラインストレージ20GB)
年間プラン
(月々払い)
\980- / 月 (税別) 個人向けプランと同額なので、あえて学生・教職員として購入する意味はありません。
年間プラン
(年払い)
\11,760- / 年 (税別) 個人向けプランと同額なので、あえて学生・教職員として購入する意味はありません。

 コンプリートプランというAdobeの製品がすべて利用できるプランもありますが、ここではPhotoshop単体プランおよびフォトプランのみ紹介しています。

 全てのプランで自動更新がデフォルトONになっています。継続的に使用するかしないか状況に応じて設定変更しておくべきです。

 年間プランは、更新月の前月のみ解約料なしで解約できます。このタイミングを覚えておかないといけないのでかなり大変です。

 マルチプラットフォームでWin、macOSどちらにもインストールできます。1ユーザーで2台までインストール可能ですが同時使用は1台のみです。

 Photoshop、Lightroomと各プランごとのオンラインストレージに加えて、全プランでAdobe FontsAdobe PortfolioAdobe Sparkの利用が可能です。


3.Illustrator、Photoshopの付随製品

 サブスクリプションモデルであるCCで契約すると該当のIllustrator、Photoshop以外に以下の製品が利用できます。

Lightroom

 LightroomはPhotoshopと密接に連携したフォトアルバムです。Photoshopはあくまで写真編集を行うソフトであり、多数の写真をカテゴリー分けして管理するような機能はなく、あくまで1枚1枚の写真を加工編集するだけです。その為アルバム的な写真管理はOSのフォルダによって管理するか、別途サードパーティの写真管理ソフトを利用するのが一般的でしたが、Lightroomを利用することで、Photoshopと密接に連携した写真管理が可能になります。さらに明るさの補正など簡単な補正であればPhotoshopを利用せずLightroomだけで、それも多数の写真を一括で補正できます。
 このLightroomはPhotoshopのフォトプランで契約すると利用できます。コンプリートプランでも、もちろん利用できます。
 LightroomにはLightroom ClassicLightroomの2つがあります。Lightroom ClassicはCS時代から続くLightroomです。ディスクトップアプリケーションとして高度な管理機能が提供されます。一方、Lightroomはモバイルに対応した軽量アプリです。iOS、Android上のアプリとして利用可能です。Photoshopはモバイル上で利用できませんが、Lightroomを利用することでモバイル上で簡易な画像修正ができます。


Adobe Spark

 Adobe SparkはSNS内でのショートムービーやグラフィック作成に特化したテンプレート集です。Webブラウザ又は、iOS、Android上のアプリとして利用可能です。
 このAdobe SparkはIllustratorの単体プラン又はフォトプランを契約すると無料で利用できます。コンプリートプランでももちろん利用できます。


Adobe Spark(https://www.adobe.com/jp/products/spark.html)


Adobe Portfolio

 Adobe Portfolioはデザイナーのポートフォリオを簡単に作成するためのCMSとホスティングを統合したサービスです。デザイナーは仕事を取るために自身の作品(=ポートフォリオ:成果物)を、相手先に提示し実力を示さなければなりませんが、そのポートフォリオをドラッグアンドドロップで簡単に作成でき、同時にWEB上に公開できます。
 このAdobe PortfolioはIllustratorの単体プラン又はフォトプランを契約すると無料で利用できます。コンプリートプランでももちろん利用できます。


Adobe Portfolio(https://portfolio.adobe.com/)


Adobe Fonts

 Adobe Fonts(旧TypeKit)は、Adobeの提供するオンラインフォントサービスです。国内の主要フォントを含め15,000以上のフォントが利用できます。
 実はこのAdobe FontsがCCの目玉とも言える製品です。昔、CS以前のパッケージ販売の頃、デザイン事務所やウェブ制作会社は10万円を超えるIllustrator、Photoshopのパッケージを購入した上、クライアントの要望に随時答えるために和風フォントやスタイリッシュなフォントが必要で、1フォントごと1万円以上するモリサワフォントやダイナフォントを購入しなければならなかったのですが、CCでは月額料金内で多数のフォントを利用できます。これは昔からIllustrator、Photoshopを利用してきた人間からすると驚愕です。
 このAdobe FontsはIllustratorの単体プラン又はフォトプランを契約すると無料で利用できます。コンプリートプランでももちろん全フォント利用できます。
 尚、フォントをダウンロードすることはできません。あくまで契約したIllustrator、Photoshop上で利用できるのみです。これをAdobeではフォントの「同期」と呼んでいます。ダウンロードできるとすれば、端末にインストールしてExcelやWordなど他のアプリケーションでも利用できる訳ですが、そう出来ないよう制限されている訳です。


Adobe Fonts(https://fonts.adobe.com/)


4.Adobe製品を全て利用できるのコンプリートプラン

 コンプリートプランで契約すれば、以下ほとんど全てのAdobe製品が利用できるようになります。

~ 2D画像編集 ~
 ・Illustrator
 ・Photoshop
 ・Lightroom

~ DTP ~
 ・InDesign
 ・InCopy

~ WEBコーディング ~
 ・Dreamweaver
 ・XD
 ・Spark

~ Flash・2D動画 ~
 ・Animate
 ・Character Animater

~ 3D画像編集 ~
 ・Dimension
 ・Fuse

~ 動画編集 ~
 ・Premiere
 ・After Effects
 ・Media Encoder
 ・Prelude

~ 音声編集 ~
 ・Audition


~ その他 ~
 ・Acrobat
 ・Bridge
 ・Portfolio
 ・Adobe Fonts
 ・100GBのクラウドストレージ


サブスクリプション料金(月額料金)

購入者 購入プラン 料金 備考
個人 年間プラン(月々払い) \5,680- / 月 (税別) 1年縛りのプランです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として請求されます。
年間プラン(年払い) \65,760- / 年 (税別) 1年縛りのプランの一括払いです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として差し引かれた上で返金されます。
月々プラン \8,980- / 月 (税別) 月々のプランです。解約料はかかりません。
法人 月々プラン \8,980- / 月 (税別) 月々のプランです。解約料はかかりません。
学生・教職員 年間プラン(月々払い) \1,980- / 月 (税別) 1年縛りのプランです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として請求されます。
年間プラン(年払い) \23,760- / 年 (税別) 1年縛りのプランの一括払いです。途中解約する場合、残存月数×50%の料金が解約料として差し引かれた上で返金されます。

 全てのプランで自動更新がデフォルトONになっています。継続的に使用するかしないか状況に応じて設定変更しておくべきです。

 法人プランは月々プランのみ。学生・教職員プランは料金の安さが魅力ですが一年縛りのみです。

 一年縛りの場合、更新月の前月のみ解約料なしで解約できます。このタイミングを覚えておかないといけないのでかなり大変です。

 個人の場合、フリーのデザイナー等、確実に一年以上利用する方以外は、最初、少々高いですが月々プランで契約することをお勧めします。契約以降、使用状況を見て一年縛りに切り替えるかどうか考えることが出来ます。プルダウンのデフォルトが年間プラン(月々払い)になっているので注意して下さい。

 マルチプラットフォームでWin、macOSどちらにもインストールできます。1ユーザーで2台までインストール可能ですが同時使用は1台のみです。

5.どうしても有料プランを購入できない場合のGIMP、INKSCAPE

 デザイン会社やWEB系開発会社でAdobe製品を利用しないということはほぼありえませんが、例えばシステム開発の現場など通常プログラミング中心の現場では日常的に画像編集を行わないため、有料プランを利用するのはちょっと、という現場で突発でロゴ等の画像を作成しなければならない場合などには、以下のOSSがあります。

GIMP

 Photoshopライクなラスター系2D画像編集ソフトです。レイヤー機能も備わっており本格的なラスター画像作成が可能です。JPG、PNG等画像ファイルへの出力にも対応しWEB系の画像作成については十分な機能が備わっている一方、CMYKカラーには未対応のため印刷物作成には向きません。マルチプラットフォームで、Windows、Linux、macOS上で利用できます。無償、商用可、OSSのGPL Lisenceで運用されています。


GIMP(https://www.gimp.org/)


INKSCAPE

 Illustratorライクなベクター系2D画像編集ソフトです。非常に高機能です。完全対応ではありませんがaiファイルを開くことまで出来ます。(ai形式で保存することはできません)マルチプラットフォームで、Windows、Linux、macOS上で利用できます。無償、商用可、OSSのGPL Lisenceで運用されています。


INKSCAPE(https://inkscape.org/ja/)



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